【読書メモ】秘伝「書く」技術|夢枕 獏 (集英社文庫)
秘伝「書く」技術 (集英社文庫(日本)) [ 夢枕 獏 ]の読書メモです。
本の情報
基本情報
書籍名 | 秘伝「書く」技術 |
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著者名 | 夢枕 獏 |
出版社 | 集英社(集英社文庫) |
出版日 | 2019年8月30日 |
内容紹介(裏表紙より)
「陰陽師」シリーズや『神々の山嶺』など、40年以上にわたり、話題作を世に送り続けるベストセラー作家が初めて語る、目から鱗の創作技術論。アイディアが枯渇した時はどうすればいいのか? やる気が出ない時の対処方法とは? 着想のきっかけや情報収集のコツ、継続の秘訣までを余すところなく明かす。文章の表現力アップはもちろん、音楽や映像、ウェブなど全ての創作に役立つヒントがいっぱい!
秘伝「書く」技術 裏表紙より
印象に残ったところを抜き書き
着想のきっかけ
小説のアイディアを思いつくと、ぼくはカードに書いています。
カードというのは、名刺サイズより少し大きい紙で、ぼくはだいたい同じものを使っています。
一つのカードに書くのは、一つのアイディアと決めています。時と場合によりますが、基本的に思いついたままに、脈絡とか使えるとかを気にせずに、とにかくメモしていくんです。
秘伝「書く」技術 P7
情報収集のコツ
「何がわかっていないか」を知る
小説に関連する資料を読む上でいちばん重要なのは、「何がわかっていないか」を知ることです。当然ながら、本に書いてあるのはわかっていることで、わかっていないことは書いていない。文献資料などを読み込んでいくうちに、どこまでがわかっているのかがわかるようになる。
秘伝「書く」技術 P33
知っていることほど間違える
もう一つ、資料を読む際に気をつけていることがあります。
人は、知っていることほど間違えるんですね。(中略)思い込みというのは怖いもので、ぼくの三七年の作家人生を振り返ると、この知識は万全だと思っていることほど間違えるということが少なからずありました。
ですから、文献資料を読む際には、知らないことを調べるだけではなくて、知っていることも念を押して確認するようにしています。
秘伝「書く」技術 P34-35
やる気が出ない時の対処方法とは?
やる気をつくってから書くのは、時間がかかってしまうんですね。そうではなくて、机に向かって書くという行為によって、やる気が湧いてくる。「やる気」があるから「やる」のではなく、「やる」から「やる気」が出てくるんですね。これは書くことに限らず、何かを長く続けていくには必要な姿勢ではないかと思います。
秘伝「書く」技術 P17
アイデアが枯渇した時は
とにかく考える
まず「死ぬほど」考えるんです。とにかく考える。(中略)こうやって考え抜くことで「神を生む力」が得られるんです。言い換えれば、小説のアイディアを生み出す力ですね。神を生む力というのは、あるときぼくが思いついた言葉なのですが、必死に考えているときって、こんな感じなのです。
秘伝「書く」技術 P45
とにかく書く
時間があれば考え続けるのですが、締め切りが迫ってくると、もう悠長なことは言っていられなくなる。そんなときはどうするかといえば「とにかく書く」。これが最終兵器です。
とにかく書く、というのは素晴らしいんです。何が素晴らしいって、一行書くと、次の一行が出てくるんですね。二行目を書くと、三行目が出てくる。原稿用紙が一枚くらい埋まる頃には三枚先あたりの内容が頭の中に浮かんでいます。
秘伝「書く」技術 P46−47
継続の秘訣
当時は同人誌などに書いていたんです。SF関係とか、いろんなところにね。そういった界隈にも才能のある人たちはたくさんいたんですが、意外とみんな、書かなくなるんです。(中略)そういうなかで悟ったのは「書かなきゃ作家じゃない」ということです。
秘伝「書く」技術 P161